第14回 大井徹雄(2002年卒)

卒業から約10年。
いまや合唱の世界からはすっかりと足が遠のいてしまった。

にも関わらず、時たま頭の中で流れる、歌声。

NHK全国学校音楽コンクールがテレビで放映されれば、
目と耳が自然と引き寄せられる。
その吸引力は、ごく強い。
ネット上で懐かしい曲を見つければ、
飽きることなくリピートさせ、思いを馳せる先が、
しばし“青春時代”と呼ばれる時期へと向かう。

さて、平成24年5月現在、仕事の関係で富山を離れているが、
10年経ったこのタイミングで何故か、
HPのドア(音楽室のそれを模したものである)を叩いていた。

リレーエッセイの担当者一覧には、自分の名が連なっている。
開いてみると「現役部員の皆へ」と題して、
大学生時代に書かれた文章がしっかりと刻まれていた。
今から約6年前、卒業後4年経過した時点での文章ではあるが、
まるで部活にかける思いが未だ消え去っていないかのような、
やや熱い口調での書きぶりだった。

それだけに、読んでいて無性に恥ずかしくなってしまう。
ずっと昔に書いたラブレターを目にするかのような恥じらいである。
それで今回、無理を言って削除してもらうに至った。
代わりと言ってはなんだが、こうして、
第14回目のエッセイを書かせてもらっている。

このエッセイでは、何を書けば良いか。
おそらくはもう、十分に語っている。
これ以上書くと、(あるいは現段階で、)
数年後にはまた削除要請を出すことになるかもしれない。

今年(平成24年)、
中部高校コーラス部のコンサートは、
第50回の節目を迎えるらしい。
これに伴い、歴任顧問やOB・OGによるステージも設けられるそうで、
参加が叶わないことは残念でならない。
ただ、コンサートが成功のうちに幕を閉じることと、
いま青春を生きる現役部員の皆さんのますますのご活躍を願っている。
そして富山に戻ったあかつきには、
きっとまた、音楽室のドアを開けに行きたいと思う。

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1999年4月〜2001年8月在籍。
2012年5月現在、富山県職員。